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  • 2010-07-21 (水) 17:41

家づくりに対する想い、考え方はとても大切なことだと思います。

「想い」が形になるといっても過言ではありません。

だから作り手の想いと住い手の想いはひとつの方向を向いて完結することと考えています。

コミュニケーションが家づくりにもっとも重要な要素と考えるのはこんな理由からです。

ことばで伝えるこのコーナーを通して、時々「想い」を発信していきます。

空間を研究開発している感覚です。

今まで手掛けてきた住宅は70棟以上(2010年現在)になりますが、すべて空間構成が違っています。

その都度建て主のライフスタイルや設計条件が異なることもその理由のひとつですが、私自身が新しい建築に出会うことを楽しみにしているからかなと感じています。

毎回すでに作った空間構成と違うものを提案したいという気持ちがあります。

住宅展示場のようなショールームを持たないことをむしろ誇りに思っています。

毎回違う空間をつくるといっても、ついつい常識にとらわれてしまい、新鮮な発想を失ってはへこむ毎日です。言うは易し、大変難しいことですね。

「やりたいこと」と「やれること」のギャップにのたうち回っていますが、その都度テーマを見つけて前向きに取り組んでいます。

個性と相性

よく「建築家選びは自分と相性があうことが大切」という言葉を耳にしますが、私ももっともだと考えます。

でも一言で相性といっても、なにからなにまで住まいに対する考え方が一致するなんてことはありませんよね。

夫婦の間でも趣味、嗜好が異なるものなので当然です。

ここでの相性は「なんとなくこんな感じ」で充分だと最近は思っています。

私は建て主の「好み」を個性ととらえています。

外装、内装、色調など自分と違う個性と出会うのも楽しみですし、建て主の個性が現れる作り方でもあると思っています。

むしろ南欧風とかなになに風などの様式化したスタイルは、安易で無個性と感じてしまいます。

ありきたりでなく、深く考えたものを形にしたいという感じですね。

コンビニ食材で勝つ

昔、料理の鉄人という番組がありましたね。

そのなかで印象に残っているのが、素人がフォアグラやキャビアなどの高級食材なんでもありに対して、鉄人はコンビニ食材だけで挑戦するというシチュエーションでした。

結果は見事に鉄人の勝ち。

これをみて腕、技の凄さを感じると同時に、自分の目指すべき設計もこれではないかと強く思うようになりました。

お金をかけないでも人をうならせる、感動させる建築ができると信じて仕事をしています。

住宅の豊かさを考えたい

日本の住宅は豊かだと思いますか。

きっと多くの人はそうは思っていないと思います。

確かに家電、設備機器、材料、技術など世界に誇れるものは多くありますが、国土が狭いせいなのか、住宅政策に希望が持てないのか、業界全体の構造的な閉塞感なのか、そのすべてかもしれませんね。

広々とした緑豊かな環境にゆったりとした住まいを持てるのは、ほんの一握りの経済的な成功者か田舎の地主に限られるようです。

そうは言ってもどうにもならないのは土地ですね。

まずすべてを受け入れることから始めます。

なにからなにまで日本を変えようなんて思っていないし、私の仕事ではないと思っています。

狭い、暗い、金がない、様々な不便を受け入れて、少しでも住みやすい空間に知恵を絞ります。条件が厳しいほど常識では通用しない面白い発想が生まれたりもします。

そういう意味では知恵の絞り甲斐もあるというものですね。

日本の住宅は世界に誇れる空間利用法が生まれる土壌があるのかもしれません。

戦後プレファブメーカーが多くの住宅を供給してきた功績は大きいと思います。

でも量から質への転換を迫られたとき、仕上げや性能に特化され、空間そのものの多様化は置き去りにされた形になりました。

お陰で私のようなものでも必要とされる市場が残されていると見ています。

まだまだやれることはいっぱいあるという想いですね。

形、色、素材へのこだわり

私の建築を「白い箱」というイメージで印象づけられている方々も多いと思います。

今から20年前、独立したてのころは、以前勤めていた事務所の図面と本を参考に、慣れない木造住宅に取り組んでいました。

屋根勾配は屋根材によって決まり、庇は法規によって色んな方向から出幅が制約されていることに、もどかしさを感じていました。

いくらやっても木造のもつ、かっこいい水平感が出せないなと悩んでいました。

そうこうするうちに予算オーバー、陸屋根にしてやっと納まった経緯がありました。

当時は木造で陸屋根の事例もほとんどなく、恐る恐るシート防水で行いました。

あのころは外国雑誌のかっこいい住宅はほとんどが鉄筋コンクリート造、なんとか見た目鉄筋コンクリート造に出来ないものかと次第に箱型を基本に考えるようになりました。

規制で屋根が美しくかけられない条件が多かったためか、屋根を考えなくていい造形はある意味、楽だったんでしょうね。

いまでこそ白い箱型の家はよく見かけますが、当時から箱型建築を木造でやってた連中は似たような感覚をもっていたと思いますよ。

あとは家に生活感を出したくないと考えだしたのも、そのころだったように思います。

窓も中途半端な長方形じゃなくて正方形なんて考えていました。

お陰で最初の建物のサッシはすべて特注品になってしまい、300万の予算オーバー。

これを減額するのに体重3㌔落ちたことを懐かしく思い出します。

「白い箱」は依頼主が事例をみて頼まれるため、傾向が似かよってきますが、必ずしも白にこだわっている訳ではありません。

ただ白だと、インテリアの延長として外部を取り込み易かったり、空や緑が美しく見えたり、反射で明るく出来たりといい点もありますね。

最近感じることは、私の白は抽象化の白ではなくマテリアルの一つとしての白だということです。

木、石、サイディングなども積極的に扱っていきたいと思っています。

色や形もこれ見よがしの建物を見ると「あざとい」と感じるようです。

シンプルさに惹かれる感覚は確かにありますね。

好きな言葉にこんなのがあります。

「完璧な設計だとわかるのは、付け加えるものがなくなったときではなく、取り除くものがなくなったときである」  アントワーヌ・ド・サンテグジュペリ

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